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【裏】大奥

其の参



翌日秀麗は佐助にある部屋に連れて行かれた。
「躾師が来るまで皆と一緒に居るといい」と言われ通された部屋には
昨日の紅蓮を含め5人の男達が楽しそうに雑談していた。

「おや、秀麗・・気分はどうですか?」紅蓮の優しい声に引き込まれるように部屋に入ると
「へえーこの子が新入り?」
そう話しかけてきたのは、秀麗よりも少し年上だろうが、愛らしい顔のまだ少年のような子だった。
「はい、秀麗に御座います、宜しくお願い致します」
誰にともなく、その部屋に居る男達に挨拶をした。

「僕は、小雪宜しくね」
「・・小雪?」女みたいな名前だと秀麗は思ったので、つい呟くように繰り返してしまった。
「ここでは、外の世界と違う名前があるんだよ。外では小太郎って言うんだけどね」
そう自身を揶揄するように小雪が話してくれた。

「秀麗は、外の名前は?」と紅蓮に聞かれ
「いえ・・私は外でも秀麗です」
「そう、秀麗って綺麗な名前だからそのまま使ったんだね」と納得される。

「ところで、今日躾師と会うんだよね?」そう聞かれ秀麗は泣きそうな顔になり
「・・ハイ」と頷いた。
「大丈夫だよ、そんなに心配しなくても、小五郎さんは上手いから」
紅蓮にそう言われるが、一体自分が何をされるのか、想像するのも怖い秀麗だった。

「僕も最初は辛かったけど・・・・でも慣れたら・・ね紅蓮?」
慣れたらどうだって言うのだろう?小雪の言葉に更に不安になる。
その時襖がすーっと開き
「秀麗、躾師が来たから、こっちへ来なさい」佐助を処刑宣告を受けるような気分で秀麗は聞いた。
「・・・・はい」

そんな秀麗の手を紅蓮がそっと握った。
そうされるまで、自分の手が震えている事すら判らない程秀麗は緊張していたのだ。

佐助に連れて行かれた部屋に一人の男が道具箱のような物を横に置き座って待っていた。
「秀麗に御座います」挨拶する秀麗に
「私は小五郎です、宜しくお願いします」そう頭を下げられて秀麗は驚いた。
ここに来てから頭を下げる事はあっても、下げられる事などなかったからだ。

小五郎という男は体躯が良く精悍な顔をした男だった。
「こちらこそ、宜しくお願いします」秀麗も頭を下げる。
「では、こちらへ」と更に奥の部屋に連れて行かれた。
そこには、1枚の布団が敷かれている。

「布団の上に座って下さい」
言われるまま、布団の上に座る秀麗。
前には座布団が3枚程重ねて置いてある。

「その座布団の上に顔を乗せるようにして、こちらに尻を向けて下さい」
最初はこの姿勢が楽だという事を小五郎は経験上判っていたのだ。
四つん這いにさせると、腕に負担もかかるし、自由にもなる。

秀麗は言われるまま、小五郎に尻を向ける格好で座った。
「両手を後ろに回して下さい」
秀麗が後ろに手を回すと、あっという間にその手を腰の上で一つに拘束された。
「えっ!」不安な声が口から飛び出してしまう。

秀麗の腰をぐいっと小五郎が持ち上げた事により、秀麗は肩で体を支えるように
重ねられた座布団の上に倒れこんだ。
「あっ?小五郎様・・・何を?」慌てて秀麗が口にするが小五郎はそれ以上説明する事をしなかった。

膝立ちさせ、着物の裾を腰まで捲り上げた。
ここに来て褌を着ける事を禁止されている秀麗の後ろが晒されたのだった。
「いやぁ!お願いします・・・お止め下さい」
「大丈夫だよ、少しづつ拡げたら痛みは無いから」
その拡げられる事が秀麗には耐えられない事なのだ。

秀麗は後孔に冷たい物を感じた。
「えっ?何を・・・」
「油を塗ったんだよ、この方がずっと楽だ」
「いやです・・・いやです・・・」
その時、塗った油を馴染ませるように、後孔の入り口をゆるゆると撫でられた。
「いやーーっ!・・・・あぁお願いします・・・」

「秀麗と言いましたね?止めますか?
私は止めてもいいんですよ、ですが給金を受け取ってるのですよね?
止めてそのお金を返しますか?」

そうだっ・・・・「秀麗嫌なら無理してご奉公に上がらなくてもいいんだよ」
優しく父は言ってくれた。自分が奉公に上がる事で、薬が買える。
長屋や町の人が少しでも苦しまないように、医者である父は薬代を苦労してかき集めていた。
その為に生活も楽では無い、だけど母もそんな父を責めるような事は一度も言った事が無かった。

自分が奉公に上がる事で、皆が幸せになれるんだ。
自分がここで我慢して奉公すれば、先に貰った給金を返す必要もない上に
勤め上げれば、その時には又給金を貰えると聞いた。
『1年の辛抱だ・・・・』秀麗は唇を噛んで、耐えた。

「申し訳御座いませんでした・・・お願いします」
覚悟が決まった訳では無い・・・ただこうする事しか秀麗には出来ないのだ・・

秀麗の体がビクンと跳ねた
「ヤアッ・・・」抵抗する事を止めたはずなのに、どうしても抗う声が零れてしまう。
後孔に圧迫を感じたのだ。
「これは上質の粘土を焼いてそして綺麗に研磨した物だから」
入り口を細い棒のような物が撫で回す。

秀麗は唇を噛んで声を出すまいと耐えた。
「ああっ!」その細い棒がゆっくりと中に押し込まれた。
まだほんの先だけなのだが、秀麗の体に力が入った。
「少し息を吐いてごらんなさい」小五郎に言われ
軽く息を吐いた・・・「あ・・・つ」

その棒がゆっくりと奥を目指すように挿入されてくる。
「いやぁ・・・・」
自然と漏れる声は小五郎に無視される。

細いその棒がかなりの深さで秀麗の中に収まった。
「まだ全部じゃないですが、殆ど入りましたよ」
「・・・っ」
「秀麗さん、では全部入れますよ」
そう秀麗に告げると、小五郎は手にした棒をぐっと押し、全てを収めた。

少しの痛みと異物感が秀麗の心を乱す。
「うっ・・・」泣くつもりは無いが涙が零れるのは止められない。
「困ったお方だ・・・・これはまだ序の口ですよ、これに慣れたら
だんだんと太い棒に変えて行きますから、せめて伍の棒まで入るようにならないと
上様の物を受け入れるのは辛いですよ」

『あんな物受け入れたくない・・・入るはずが無い・・・』
秀麗は胸の中で呟いていた。
「ひゃっ!」中に入った棒がぐるっと回されたみたいだ。
「あぁ・・・」

「次のは入りやすいように、入り口を拡げましょう」
そう言ったかと思うと、入り口だけをグリグリ回すように拡げられた。
「やっ!・・・もうお止め下さい・・・お願いでございます・・・」
何度懇願しても叶わない事は判っているのに、秀麗はそれだけを繰り返していた。


そしてそれを暫く繰り返すと、その棒はゆっくり秀麗の後孔から抜かれた。
秀麗がほっと息を吐くと、すぐさまさっきの棒よりも明らかに太いと思われる棒が
後孔の入り口に当てられ。
「次は弐の棒を入れますよ」

「いやああーーーっ」弐の棒と言われたのに、さっきよりは遥かに太い棒だ。
『これで2番目・・・・ぁぁ』きっと自分は伍の棒までは耐えられない、そう思ってしまう秀麗だった。

秀麗の後孔の入り口に弐の棒が押し当てられた。
不安と屈辱と恐怖・・・色々入り混じった涙が止まらない。
「やれやれ・・・困ったお方だ」ふっと力を抜いた小五郎が呟いた。

「秀麗さん・・・元来こういう嗜好だった者以外は皆最初は泣きましたよ
でも、今は幸せそうに此処で暮らしています。」
だから耐えろと小五郎は言いたかった。
小五郎はそう説明しながら、ふと紅蓮の躾の時の事を思い出した。

あれだけは何をされても泣かなかった。
屈辱で唇に血を滲ませながら耐えていた。
紅蓮は本来は受け入れる側の性質では無い事は小五郎には判っていた。

そう思いながら、小五郎は壱の棒に持ち替えた。
これは小指程の太さだ。
この太さで、抽送を繰り返され反応を示さなかったのは
・・・それも紅蓮だけだった。

「もう一度壱の棒で慣らしましょう、こちらを向いて下さい」
そう言われても秀麗は身動き出来ないでいた。
小五郎の方を向くというのは、小五郎に今度は前を晒す事になる。

「小五郎様・・・このままではいけませんか?」
申し訳なさそうな声で秀麗が聞いてきた。
「いえ・・こちらを向いて下さい」
小五郎は秀麗の体がどう変わっていくのか見てみたい気分だった。

この子には紅蓮の妖艶さと、そして紅蓮には無い嗜虐心を無意識に
煽ってしまうような何かがある。

今度は座布団の枚数を増やし、それに背を持たれかけさせ小五郎の方を向かせた。
完全に寝かしてしまうと、後ろ手に縛った腕が痛むだろうから
軽く凭れるように座らせる。

「脚をもう少し開いて」
その少し開いた両の脚が小刻みに震えている。
小五郎はその脚にそっと手を添え押し開いた
そして、もう一度壱の棒を挿入した。

「あ・・っ」
「痛みますか?」
「・・大丈夫です」
秀麗の男の部分はまだ何の変化も見られなかった。

「秀麗さん、ゆっくり動かしますから、体の力を抜いて下さい」
「・・・・・」
力をどう抜いて良いのかさえも判らない。
「くっ・・」何とも言えない感触に秀麗が唇を噛んだ。

挿送を何度か繰り返し、そして手馴れたように小五郎は
さっと弐の棒に取り替えた。
蕾が閉じる前に手早く弐の棒の先を挿入する。

「やあっ!」
さっきよりも大きい圧迫感に秀麗が抗った。
「大丈夫ですよ、もう先は入りましたから・・」
「ああっ!・・・・・やっ」

仰け反った秀麗の瞳から散った涙が小五郎の頬にかかった。


「・・・秀麗さ・・・ん・・」
今まで多くの男の調教をしてきた。
だけど、こんな背中がぞくっとするような感じは初めてだった。
小五郎は秀麗には気づかれないように固唾を飲んだ。


この子はもしかして
天下を揺るがす存在になるかもしれない
漠然とそういう風な思いが頭を過ぎった。

その時、襖の前から声が掛かった。

「小五郎、入ってよいか?」

この男が躾の部屋に来るのは珍しい事では無かった。
新入りが入ると、躾の様子を見物に来たりもしていた。
「はい、お入り下さいませ」

その男の声を聞いた瞬間から、秀麗の体が強張ったのが手に取るように判る。

「嫌でございます・・・・」
秀麗がか細い声で抗った。

こんな姿を見られたくは無い。
こんな屈辱的な姿を・・・・

だが、此処に居る限り私はいつか、あの男を受け入れなければならないのだ・・
「嫌でございます・・・」
もう一度、叶わぬと判っている言葉を呟くように吐いた。

「ああっ・・」
止まっていた小五郎の手が動き出した。
油を足された弐の棒はゆっくりと秀麗の体の中に埋まって行った。
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