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【裏】大奥

其の拾壱


兼光が部屋を出て行き暫くすると紅蓮が訪ねて来た。
「秀麗体は大丈夫か?」
「はい・・・まだ動けませんが・・・」
「上様に薬を頼まれた・・私でいいか?」

紅蓮の申し入れに秀麗は「お願い致します」と答える。
「では、裾を捲って、膝を立てて」
紅蓮は淡々と指図する。
秀麗は紅蓮に言われるがまま、膝を立てた。

「うっ!」蕾の入り口は軟膏を塗られるだけでピリピリしてしまう。
それでも紅蓮は言葉を発せずに、ただ黙って塗っている。
「中にも塗るぞ」と言われ、体が強張るが、軟膏を付けた指は
中にプツッと入り、中にも充分に塗ってくれた。

「もういいぞ」固く目を瞑っている秀麗に声を掛ける。
「紅蓮様・・ありがとうございました」
何だか怒っている風の紅蓮にそれ以上言葉を掛けるのを躊躇われた。
「では、ちゃんと養生するんだよ」
そう言うと紅蓮は秀麗の部屋を出て行った。

秀麗は紅蓮に手間ばかり掛けるから・・・もう紅蓮に見放されたと思った。

紅蓮は自分の部屋に戻りながら、
秀麗の赤く腫れた後孔を痛ましいと思いながらも、
どうしてやる事も出来なかった自分を責めた。

そして紅蓮は午後にもう一度秀麗に薬を塗りに来てくれたが
その態度は朝と変わる事なく、言葉も少なかった。

夜になり、秀麗は兼光の部屋に呼ばれた。
まだ少し腰がだるく、歩くと後孔が痛むが、小姓が軽く支えてくれれば
自分の足で歩けない事はなかった。

紅蓮の態度に心を沈ませていた秀麗が兼光の部屋に入り
兼光から見せられた物に目を光らせた。
「上様・・・これは?」
「秀麗はきっと興味があると思って、用意させた」

そう言って見せられたのは十数冊の書物だった。
秀麗は嬉しそうに手に取り「あっ、こういう書を読みたかったんです」
その目はキラキラ光り兼光もそれだけで嬉しそうだった。

「秀麗は医者になりたいのか?」
「いえ・・私はこのような薬草とかを調べて、薬を作りたいので御座います」
秀麗は兼光の酌をするのも忘れて書物を手にしていた。

手酌で杯に酒を注ぐ音ではっと我に返った。
「も・申し訳御座いません、私が」
そう言って兼光の持つ徳利に手を添えた。
嬉しそうな顔でその徳利を秀麗に渡す。

「秀麗も飲むか?」
「いえ・・私はお酒という物は飲んだ事が御座いません」
「一杯だけでもどうだ?」
兼光に勧められたら断る訳にも行かずに杯に口を付けた。

「あっ・・意外と美味しい」
流石に献上酒だけの事はある、酒を始めて口にする秀麗にも美味いと思わせた。
勧められるまま2杯3杯と飲むと秀麗の頬も染まって来る。
飲み慣れない秀麗はすぐに体がふわふわして来て、座っているのが辛くなった。

「上様、足を崩しても宜しいですか?」
「構わぬぞ、もう酔ったか?」兼光の機嫌もかなり良い。
横座りしようとして力を入れた途端、後孔に痛みが走り、体勢が崩れた。
「あっ!」
その秀麗を兼光がそっと抱きしめるように受け止める。

「あ・・・上様申し訳御座いません・・・」
「良い・・このまま凭れておれ」
そう言われ秀麗は兼光にしなだれ掛かるように横座りした。

ほんのり色付いた項が兼光の目の前にある。
その項に唇を付けた。
「えっ?あっ?」驚いた秀麗が身を捩ったが
「大丈夫だ、酷い事はしない。秀麗だけを気持ち良くしてやりたい・・」

昨夜の失態を反省しているのだろう・・・その声は君主としての声ではなかった。
「だ・大丈夫です・・・だから・・あっ!」
兼光が秀麗の腕を引き寄せ、胡坐をかいた自分の足の間に横向きに座らせた。
まるで子供が親の膝の中で甘えているような格好に秀麗は慌てるが

その兼光の手が合わせた襟の中に入ってきた。
こりっと胸の粒を擦られた。
「あ・・っ」小さな秀麗の声に微笑んだと思うと、秀麗の耳の中に舌を差し込んできた。
「やぁっ・・・」指の感触も舌の感触も秀麗をゾクリとさせるには充分な刺激だった。

秀麗の小さな喘ぎに気を良くした兼光は、その指で更にこりこりと摘んだ。
「あぁ」
少しの酒に目元を赤くした秀麗は敏感になった肌を持て余す様に吐息を吐いた。

兼光の膝の外に伸びた秀麗の白い足が艶かしい。
その腿の内側を兼光の手が滑る。
「あぁ・・っ・・・駄目です・・・上様っ」
「大丈夫だ、後ろを触ったりはしない」

秀麗のしっとりした腿を楽しむように、その手でゆっくり撫で回す。
皮膚の表面をそっと撫でられ秀麗の体が粟立つ。
足の付け根まで触れた手は、又膝まで下がってしまう。

そのもどかしい感覚に秀麗が「う・上様・・・」と強請るような眼差しを向けた。
「秀麗・・・もっと触って欲しいか?」
「上様・・秀麗は酔ってしまったようです」
その答えは納得出来ない、と言ったふうに
兼光の手が秀麗の着物の裾を左右に開いた。

「あぁ・・・上様・・・見ないで下さいませ・・」
昨夜散々泣かされたのに、ただ胸を触られ、腿を撫でられただけで
自分の体が少し反応している事が、居た堪れなかった。

さわさわと撫でられる内腿に意識が集中してしまう。
もう少し上に手が伸びると・・・
秀麗はその手を伸ばして欲しいと望んでいるのか?否か?
自分でも良く判らなかった。

「あぁっ!」胸の粒を摘む指が少し強くなって秀麗はその反動で
兼光の膝に投げ出した足がピクンと揺れた。
「秀麗・・・・ここは大分育って来たようだが?如何するか?」揶揄するように聞かれ
秀麗は小さくイヤイヤしながら「駄目で御座います・・・見ないで下さい」と乞う。

「私の手の平は大きいぞ」
優しい目の兼光が言う。
「私の手の平は暖かいぞ」
腿を撫でていた手を秀麗の目の前に持って来てそう囁く。

「この手で秀麗のを包んでやりたい・・」
その言葉に今まで我慢していた秀麗が堕ちた・・・・

「う・上様・・・その手で秀麗を・・・包んで下さいませ・・・・」

秀麗の言葉を受けて兼光は秀麗を抱き上げ、隣の部屋に敷いてある布団に横たえた。
「う・上様・・」不安気な秀麗に向かい
「大丈夫だ、秀麗だけが気持ち良くなればいいから・・・」
そう言うと、そっと秀麗の一物を手で包んだ。

「あぁ・・・」
覚えたての感触は秀麗に甘い吐息を吐かせた。
勿論兼光の手は包むだけではない。
そっとその手を上下に動かし始める。

「あ・・・っ・・上様・・・・動かしては・・・あぁ」
「秀麗・・動かさないと気持ち良くはならぬぞ」
兼光の手は全体を包むように、そしてそれは段々と早くなって来る。
「やっ・・・あ・・・っ」
完全に育ってしまった秀麗の物を握ったまま
兼光は秀麗の白い内腿に唇を這わせて行った。

「あぁ・・・・」くすぐったい様な、ずくずくするような感覚が秀麗を襲う。
兼光は腿に舌を這わせながらも、時々きつく吸い上げる、
「ああぁっ!」
吸われる皮膚が痛い・・そしてそこからも熱を発してくるようだった。

そして兼光のその唇が向かっている先に秀麗は怯えた。
「う・上様・・・駄目で御座います・・・イヤ・・」
秀麗は自分の熱くなった箇所がねっとりとした感触に包まれた。
「ああぁぁぁ・・・・イヤッ!」
そんな事をされたら、直ぐに出てしまう・・

「上様・・お願いで御座います・・・秀麗は直ぐに出してしまいます・・・だから・・」
秀麗の願いも空しく、更に深く咥えられてしまう。
「あっ!・・・・駄目で御座います・・あぁぁ・・・もう出てしまいます・・あぁ」
秀麗の双球がきゅっと上がって来た。
それを見計らった兼光が、秀麗の鈴口に舌を差込み刺激を加えた。

「あああぁぁぁ・・・・もう・・・出でしまいます・・・あ・・・・・・っ」
自分の性器からドクドクと熱い物が出てしまった秀麗は
目を潤ませ「上様・・秀麗は粗相をしてしまいました・・・」
肩で息を吐きながら秀麗が兼光に詫びる。

「秀麗のならば私は大丈夫と言ったはずだ・・」
別に怒っている様子も無く、兼光は優しい目のままだった。
「秀麗・・・気持ち良かったか?」
「は・はい・・・気持ち良う御座いました・・・」

そしてその夜、兼光の手淫と口淫で、秀麗は3度も精を吐き出した。
3度目には、とうとう涙を零しながら抗ったが、
慣れた大人に秀麗が適うはずも無かった。


秀麗と一夜を過ごす自信が無いと笑う兼光の部屋を辞したのは
夜も大分更けてからの事だった。
秀麗は兼光に貰った書物を大事そうに腕に抱きしめて自室に帰っ来た。

書物に目を通したいと思いながらも、3度の吐精は秀麗に深い眠りをもたらした。
飲み薬のせいもあってか、秀麗はぐっすりと眠ったような気がして目が覚めた。
もう朝の光が差し込んでいた。

昨日昼間小姓に頼んで、庭に出してもらった朝顔の鉢植えに目をやった。
「!そんな・・・酷い・・・」
「秀麗、起きてるか?」
その時襖の向こうから紅蓮が声掛けた。

「ぐ・紅蓮様・・・はい、お入り下さいませ」
紅蓮が部屋に入ると、秀麗は泣き笑いのような顔をしている。
「どうした?具合でも悪いのか?」
「いえ・・・体も大分良くなりました・・」

「朝の薬を塗りに来た、横になりなさい」
紅蓮に言われるまま、秀麗は昨日と同じような体勢を取った。
「もう痛みも大分和らいだだろう?」
「はい・・・・」元気のない秀麗を気にしながらも
秀麗に薬を塗るべく、秀麗の前に座り込んだ。

「!」昨日までは白くすべすべした腿だった・・・
紅蓮が見た物は、その内腿に点々と散らされた鬱血痕だった。
その事には触れず
「秀麗、昨夜は上様はご無体はなされなかったか?」と聞いてみた。

秀麗は昨夜の自分の痴態を思い出し、顔を赤く染めながら
「はい・・書物を頂きました・・お酒も少し・・」
秀麗の後孔を見ても昨日よりも治癒している、無理な事はされていないと確認できたが
やはり、腿に散らされた花びらのような痕を見ると
紅蓮も何とも言いようの無い気持ちになってしまう。

「体は大分良くなったな・・・あと2・3日薬を塗れば、後は大丈夫だ」
紅蓮のその言葉に秀麗は気持ちが余計に沈んだ。
体が治れば、又自分は上様の一物を受け入れなければならないのだ・・
秀麗の脚が小刻みに震えてしまう。

「秀麗、大丈夫か?」
「・・はい、大丈夫で御座います・・」そう言いながら、気になっている庭にちらっと視線を走らせた。
「ん?何が見えるのだ?」
突然紅蓮が秀麗の横から外に目を向けた。

「・・・・あれは秀麗のか?」
紅蓮も昨日の朝見た鉢植えの朝顔だ。
「はい・・・・・」
「酷いな・・」

二人の視線の先には、昨日秀麗が兼光からもらった朝顔があった。
だがそれは無残にも引き抜かれ、花など咲いてはいなかった。
鉢も全部割れられていた。

「誰がこんな事を!」紅蓮の口調がきつくなっている。
「・・・・紅蓮様・・どうして?朝顔何の罪が?」
花も咲かずに枯れかかっている朝顔に秀麗の顔が曇った。

「この事は私に任せてくれないか?」紅蓮に言われ
秀麗は黙って頷いた。
紅蓮は心当たりが無い訳では無かった。

秀麗の部屋を出ると、先ず兼光の部屋に向かった。
廊下で佐助と会った。
「上様は?」
「登城のお支度中だ」
「失礼!」佐助の返事も待たずに紅蓮は部屋に入った。

「上様!」
「何だ朝から騒々しいな?何かあったか?」
「・・いえ、今夜の夜伽は?」
「秀麗に」当たり前のように秀麗の名を出す兼光に向かい
「上様、ここにはまだ年季の明けぬ、春野と楓がおります、どうかどちらのご指名を」

紅蓮の真剣な目に兼光が訝しげな顔をするが
ここで紅蓮も引くわけには行かなかった。
「判った・・・春野を寄越せ」それだけ言うと兼光は不機嫌そうに部屋を出て行った。

そして春野を夜伽に命じた事が後々秀麗の身に不幸をもたらす事になろうとは
紅蓮は予想だにしなかった事だった。
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