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【裏】大奥

其の拾六


「紅蓮様・・何かご機嫌が良さそうですね」
小雪の声にはっと顔を上げた。
自分がいつの間にか、秀麗と指きりした小指を眺めていた事に気づき罰が悪かった。
「べ・別に・・・それよりもどうかしたか?」
「・・・最近・・・」

小雪の言いたい事が紅蓮には判っている。
最近小雪と交わっていなかった。
多分それを不満に思っているのだろう・・

「・・小雪」
「やだ!そんなすまなそうな顔をしないで!」
「小雪・・私は・・」
「別に無理に好きになってとは言わないから・・・だから
それでもいいから・・・体が辛い」
そう言って紅蓮に身を投げかけて来た。

「小雪よさないか」紅蓮が小雪の体を押しのけた。
「折角いい事を教えてあげようと思ってたのに・・・」
小雪が交換条件のように何かを匂わせて来た。

「小雪、お前は何を知っている?」
「ふふふ・・・最近秀麗の身に起きてる事の真相を」
「お前を抱けば・・それを教えてくれると言うのか?」
「紅蓮様だって・・・最近誰ともしてないんでしょ?」
小雪の目が色に染まり、紅蓮を覗き込んできた。

「・・・本当に教えてくれるのだろうな?」
「勿論・・・ちゃんと満足させてくれたら」
「だが、どうしてお前がそんな事を知ってる?」
「ああ?疑ってるんだぁ?嘘は吐かないよ・・」
小雪の目が真剣なのを見取って、紅蓮が立ち上がった。

そして奥の部屋へ続く襖に手を掛け
「こっちへ来い」と小雪を呼んだ。
「嬉しいっ!」小躍りするように小雪が紅蓮に抱きついた。

布団に横たえると貪るように小雪が紅蓮の唇に吸い付いて来た。
「んん・・こ・・」
言葉を発する事も直ぐに遮られてしまう。

「紅蓮様ぁ・・・小雪はもう・・我慢しすぎておかしくなりそう・・」
秀麗が奥に来てから、他の者に声が掛からなくなったのは事実だ。
小雪が自分から胸の合わせを広げて
「紅蓮様・・・・舐めて・・・・」と胸の尖りを突き出す。

紅蓮が小雪の尖りを啄ばむと「ああぁ・・嬉しい」小雪が紅蓮の頭を抱え込んでくる。
紅蓮の唾液でてかてか光った尖りは、もうその存在を誇示してきている。
紅蓮はその尖りの片方を指で捏ねながら、
かりっと噛んでやった。

「あああぁぁぁぁ紅蓮様ぁ・・・・ああ・・いい・・・もっと」
紅蓮は尖りだけでは無く、その周りの柔らかい肉も一緒に吸い上げた。
「ああぁぁ・・・・紅蓮様・・もう出ちゃうーー」
快感に慣れた体は尖りだけの刺激だけで簡単に吐精してしまう。
ここまで感じやすい体だと、1日空いただけでも辛いのだろう・・・
紅蓮は少し小雪が可哀想になって来た。

「小雪・・早いな」揶揄すると
「だって・・久しぶりだから・・」流石の小雪も恥らう。
そう言いながら小雪は自分で着物の裾を開いて
吐精したばかりの自身に手を添えた。

そして紅蓮に見せ付けるようにゆっくりと扱きだした。
「ああ・・紅蓮さまぁ・・・見てて・・・」
紅蓮に見られて興奮しているのか、久しぶりだからなのか・・・
小雪の芯はあっという間に又立ち上がって来た。

「紅蓮様のを・・・舐めさせて」
そう言って小雪は自分の物を扱きながら
紅蓮の股間に顔を埋めて来た。
まだ半分も立ち上がっていない紅蓮の物を口腔に咥え込んだ。

そして自分の吐き出した物を掬い取り後孔に塗りつけている。
「あぁん・・・」自分で解しながら甘い声を吐く小雪だった。
その指はぷつっと後孔の中に埋まって行った。
「ああーーっ・・・紅蓮様・・早く大きくして、此処に入れて」

小雪は腰を振りながら自分で指をぐちゅぐちゅと出し入れしていた。
「早くっ・・紅蓮様の大きいのを突き刺してっ!」
小雪は自身からぽたぽたと露を垂らしながら紅蓮に強請ってくる。
「ああぁぁ・・・もう出る・・・早くっ・・・紅蓮様・・・」

紅蓮はそんな小雪を呆気にとられなが見ていた。
「早くぅ・・お願い・・もう我慢出来ないっ!」
小雪は自分の指を3本も入れて、後孔を掻き回していた。
「ああああーーーー出るっ・・・又出る・・・早く入れてーーーー」

快感に弱く貪欲な小雪だったが、今の小雪は少しおかしかった。
いくら何でもこんなに乱れた姿は見た事がなかった。
涎を垂らさんばかりに喘いでいる・・・

「小雪・・・今まで何処に居た?」
「ああん・・・早く・・大きいの頂戴・・」
全く紅蓮の声は聞こえてないような小雪だった。
雄を求めて腰を振るただの雌豚のようだった。

「もう駄目っ!」
そう叫ぶように言うと、突然紅蓮の上に跨り、自分で後孔を拡げながら
ずぶずぶと紅蓮の物を呑み込んで行った。
「ああーーーーーっ!あああああーーーーっ!」
獣のような叫びを上げて、吐精と同時に意識を手放した。

「小雪!小雪!」
『おかしい?小雪とは何度も繋がったが、ここまで淫乱ではなかった筈だ・・・』
紅蓮の胸に倒れこんで来た小雪を抱きとめると
ふぁっと今まで嗅いだ事の無いような匂いがした。
煙臭いような・・・・・

「・・・・阿片・・?」
「小雪起きろ!小雪!」
「うううん・・・・・紅蓮様・・・もっと・・・」
「小雪、今まで何処に居た?」
繋がったままの体を揺さぶった。
「あああん・・・いい・・・・」
「何処に居たか教えないと、動かないぞ」
紅蓮もこう言うしか仕方なかった。

「ああっ・・早く突いて、もっと激しくああああ」
小雪の後孔が激しく痙攣している、そんな小雪の腰を掴んで
思いっきり下から突き上げた。
「ああああ・・凄い良い・・いい・・・いい・・・」
「何処に居た?」
「・・・・ああああーーーっ・・・・か・えでの部屋ぁ・・・ああああ出るうーーーーっ!」

また意識を飛ばした小雪をそっと横たえ布団を掛けると
急いで身支度をすませ、紅蓮は部屋を出て楓の部屋に向かった。

紅蓮は乱暴に楓の部屋を開けた。
「おや?紅蓮様如何なさったんですか?」
そこには楓に凭れかかるようにしていた春野が居た。

「二人で何をしている?」
紅蓮の口調は自然ときつくなる。
「何?って・・・そんな無粋な事をお聞きになるんですか?」
そう言って春野は楓の腿を撫でた。
「私も自由の身・・・別に紅蓮様に文句言われる筋合いはありませんが?」
挑発的な目で紅蓮を睨みつけてくる。

「小雪がここに居たはずだが・・・様子がおかしい・・」
「私達に当てられたんでしょう・・きっと」
春野の手が楓の足の付け根に向かって着物の合わせから滑り込んだ。
着物の中で春野の手が上下に動いている。
「う・・・っ・・春野・・・・」
まだ少年に近い楓がその刺激に呻いていた。

「ふふ・・・紅蓮様・・・最近楓は入れる事を覚えて・・・もう凄くて・・・」
艶を含んだ目で楓と紅蓮を見比べている。
紅蓮は何気なく部屋を見回した。
部屋の片隅にある火鉢に近寄って、残り香を嗅いでみたが
得に異様な匂いがするわけでは無かった。
あの小雪に染み付いた匂いは此処で付いたものでは無かったのか?

紅蓮は勝手に奥への襖を開けた。
が、そこも何ら変わった様子は無かった。
「紅蓮様・・・いったい如何されたんですか?」
惚けているのか、それとも本当に何も隠していないのか・・
だが、春野の挑むような目が気になって仕方ない。

「あ・・っ・・そう・・そうやって・・あぁ上手・・・」
声の方を振り返ると、春野の着物を腰までたくし上げ
楓がその後ろに顔を埋めるようにしていた。
「あぁっ・・・舌を入れて・・・あぁ楓・・・」
春野の痴態に目を覆いたくなった。

小雪も春野もやはり、おかしい・・・
紅蓮は何か自分が見落としていないか、もう一度部屋を見回した。
ふっと文机の上の書物に目が止まった。
それを手に取ると、何と薬草の書物だった。

「春野・・薬草に興味があるのか?」
まだ居たのかという顔で紅蓮を見ながら
「私だって、書物くらいは読みますよ・・」答えにならない返事が返ってきた。

「あ・・・っ・・いい・・・・楓・・・指も・・・」
春野の強請る声に紅蓮は眉間に皺を寄せ
「邪魔した・・」と部屋を出ようとした。
「ああぁ・・・・凄い・・」紅蓮に対する返事は春野の喘ぎ声だった。

紅蓮が出て行った後も楓は懸命に春野に奉仕している。
楓は春野の孔に両の親指を入れ左右に拡げた。
そしてそこに舌を突き刺し孔の中の浅い部分を舐めていた。
「ああぁぁ・・・かえでっ・・・いいっ・・・あぁ」

『狂っている・・・・小雪も春野も・・楓までも・・』紅蓮は部屋を出て歩きながら
証拠は無いが、やはり良くない何かが動き出してしまったと感じた。
気が付くと紅蓮は秀麗の部屋の前に居た。
まだ寝てるかな?と思いながらも、思い切って外から声を掛けた。

「秀麗・・起きているか?」
「紅蓮様・・・はい・・・どうぞお入り下さい」
紅蓮が中に入ると、秀麗はもう起き上がり、机の前に座っていた。
「起きてて大丈夫なのか?」心配になり紅蓮が声を掛けると
少し恥ずかしそうに俯きながら「はい・・・」と返事を返す。

秀麗の傍だけ涼しい風が吹いているような・・・そんな感じがして紅蓮は微笑んだ。
「何をしてる?」
「はい・・覚えている所だけでも書き写しておこうと思いまして・・・」

この裏の大奥がどんなに変わろうとも、秀麗だけは変わらないでいて欲しいと紅蓮は願った。
「紅蓮様?」可愛らしい声で問うて来る。
「・・いや・・邪魔して悪かった・・・また後で来る」
そう言って秀麗の部屋を後にした。

紅蓮はまだ小雪から何も聞いては居なかった。
目を覚まさせて聞き出さないとならない・・・
だが色に犯された小雪の元に戻るのは気が重かった。

紅蓮が自分の部屋に戻った時はまだ小雪は目を覚ましては居なかった。
小雪の横に座ると、突然寝てると思った小雪が紅蓮の腰に両手を絡めてきた。
「小雪!目が覚めたか・・・」
「紅蓮様・・何処に?何処に行かれてたのですか?」
「楓の所だ・・・」紅蓮が正直に言うと
「嘘っ!秀麗の所でしょう?」珍しく小雪が嫉妬まがいの言葉を吐いた。

「小雪?」
「やだっ紅蓮様・・・小雪を見て、小雪だけを抱いて下さい」
縋るような瞳にはまだ色がたっぷりと宿っていた。
「・・・小雪・・・小雪しか抱いてはいないだろう・・・」
紅蓮は秀麗を抱きたいと思っても・・・今の秀麗に手を出す事は
この裏の数少ない決まり事の為に出来なかった。

「小雪、それよりもさっき言ってた事を教えてくれないか?」
「・・・いいけど・・・小雪を満足させてからって約束でしょう?」
小雪は何度も吐精したのにまだ満足してないと言うのか?
この欲に対しての貪欲さは、本来のものなのか・・・それとも?

「小雪、教えてくれたらちゃんと満足させてやるから・・・」
紅蓮も条件を出したが、どうも紅蓮の方が分が悪い。
「・・・もういい!他の男と寝てくるから・・」
立ち上がろうとする小雪の腕を掴んで引き止めた。

「判った・・・」
ここまで淫蕩になった体は全ての熱を吐き出させるしかないのか?
小雪の事だって可愛いと思っていない訳では無い。

それからなお貪欲に求める小雪が幾度目かの吐精の後に
「春野が秀麗を・・・・」
「証拠はあるのかっ?」
「盗み聞きした・・・今度秀麗・・を・・・かどわかす相談してた・・・」
「誰と?」
「わ・判らない・・・・多分出入りの誰か・・・」
そこまで言うのがやっとのように、小雪は意識を手放した。
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