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【裏】大奥

其の拾八


「何か変わった事は無かったか?」
兼光の問い掛けに紅蓮はどう答えるべきか思案していた。
紅蓮が返事をしない事をどう取ったか、
「秀麗の書物と朝顔の鉢が壊されたそうだな?」
「・・・はい」

「そうか・・・ま、此処にいる者も色々鬱積が溜まるのだろう・・・
秀麗には新しい書物を用意させた。」
「う・上様・・」紅蓮はやはり兼光に話すべきだという結論に達した。

「上様、宜しいでしょうか?」
その時に外から佐助の声がした。
「構わん、入れ」
佐助はちらっと紅蓮を見てから、兼光の前に数冊の書物を差し出した。

「探されていた物が届きました」
「そうか」兼光が自分の物のように喜びの声を上げた。
「佐助、酒の仕度を此処に」
「はい、もう準備は整っております」
佐助は廊下に向かって、ポンポンと手を叩いて控えている者を呼び入れた。

膳を持った小姓達が次々に入って来た。
「紅蓮、酌を・・」
「はい上様」紅蓮は言う機会を逃し、徳利に手を掛けた。

「佐助、秀麗を此処へ」
「もう判っておりますから、声を掛けて参りました。直に参ります」
佐助はどうあっても紅蓮と兼光を二人きりにさせないつもりみたいだ。
徳利を1本空ける頃に「秀麗で御座います」そう声が掛かった。

「おぉ待っておったぞ秀麗、早く此処に」
部屋に入った秀麗は紅蓮が居た事に少し驚いた顔をした。
「ほら、秀麗新しい書だ」
差し出された書物を手にした秀麗は目を輝かせ
その書を胸に掻き抱き「上様、ありがとうございます」
嬉しそうに礼を述べる秀麗に兼光も嬉しそうに口元を緩めている。

「秀麗も酌をしてくれるか?」
兼光の声に書物を脇に置いて、杯に酒を注いだ。
初めての時は緊張して零したりしたが、最近では零さずに酌も出来るようになった。

「では私はこれで・・」
紅蓮が腰を上げようとすると、兼光がそれを止めた。
「今夜は紅蓮も最後まで付き合え」
「えっ?」「えっ?」
秀麗と紅蓮の口から同時に声が発せられた。

「最後まで付き合えと言ったのだが?聞こえなかったのか?」
「い・・・いえ・・・」
今までに2人を相手に興じる事もあった。
が、今の兼光が秀麗の前で自分を抱くとは思えなかった。

「紅蓮は最近元気が無いと聞いたぞ、たまには他人の睦事を見るのも
刺激があって良いのではないか?」揶揄する口調に紅蓮は唇を噛んだ。
『芳か・・・・・きっとあれ以来自分が機能していないのを話した?でもどうして?』

「う・上様・・・・」秀麗が震えながら声を掛ける。
「どうした秀麗?」兼光の声は秀麗に向けてだけは変わらず優しい声だった。
「上様・・秀麗は見られながらは・・・嫌で御座います」
秀麗は自分がはしたない振る舞いをしてしまうのを判っている・・・
それを紅蓮にはどうしても見られたくは無かった。

「秀麗・・・見られて乱れる秀麗を私は見てみたい」
そんな兼光に秀麗は涙を零し
「嫌で御座います」そう繰り返す。

「私はやはり失礼して宜しいですか?秀麗も可哀想です」
自分がこの場から居なくなるのが一番いいと思って紅蓮は腰を上げた。
「良いぞ、その代わり・・この部屋を出て行く時は、この奥を出て行くと解釈するぞ」
「!・・・・上様」
その言葉に紅蓮は上げかけた腰をもう一度下ろした。

自分が奥を出て行くのは構わない、だが秀麗を置いて出るつもりは無かった。





「やぁっ!お許し下さい・・・・あぁ」
梁に掛けられた紐は、秀麗のひとつに括られた両手首に結ばれていた。
足は畳に付いてはいるものの、両手を拘束された姿勢は苦しそうだ。

「上様っ!」紅蓮の声に
「紅蓮、口も手も出すな、判ってるな?そこから動くな」

そう言うと、兼光はもう1本の長い紐を梁に掛けた。
そしてその紐を梁に固定すると秀麗の白い脚を持ち上げ
膝の辺りで紐を結んだ。

「いやあぁーーーっ!上様・・・お願いで御座います・・・紐を・・・」
秀麗は涙でぐちゃぐちゃの顔で兼光を見つめた。
「秀麗・・・大丈夫だ、直ぐに気持ち良くしてやるから・・・」

そして秀麗はゆっくりと帯を解かれ、前を肌蹴られた。

着物のせいで、帯を解いても全部が露になる訳では無い。
だが片足を高く上げられているせいで、着いている脚が半分程隠れているだけで
秀麗の腰は隠す術なく丸見えの状態だった。

「あぁ・・・・・上様・・・・」
秀麗が顔を上げると視線の先に心配そうな紅蓮の顔が見える。
秀麗はぎゅっと目を瞑った。
「秀麗・・目を開けなさい」
「イヤッ・・・」小さく抗うが、兼光に胸の尖りをきゅっと摘まれ自然と目を開いた。

怯えている秀麗の一物はまだ小さなままだった。
秀麗の背後に回った兼光が後ろから胸の尖りをこりこりと捏ね回し
そして片方の手は、秀麗の中心に向かって伸びた。

「やぁ・・・上様・・・怖い・・・・」
「秀麗、今夜はこのままで繋がる」
「いやぁっ!無理・・」
こんな恥ずかしく苦しい体勢のまま受け入れる事など無理だ・・秀麗は思った。
「秀麗・・無理ならもう片方の脚も吊ろうか?」

「上様どうして?」
いつもはとても優しい兼光がどうして今夜は、こうも恥ずかしく怖い事をするのか理解出来なかった。
その上紅蓮を見物させている・・・・

一瞬気をとられた隙に兼光の指が秀麗の蕾を押し分けるように撫で回していた。
「やっ・・上様・・・」
油の滑りを借りてその指が中に挿入された。
「あぁぁ・・・いやぁ・・・・・」
不安定な姿勢と紅蓮の視線・・・秀麗はぽたりと涙を落とした。

「相変わらずキツイな秀麗の中は・・」
それでもその指はどんどん奥へ沈み込み、指の付け根まで埋まった。
一番太くて長い中指で秀麗の中を掻き回す。
「あっ・・あっ・・あぁ・・・やっ・・・」
秀麗は身を捩るが、ぎしぎしと梁が音をたてるばかりだった。

中指で何度も後孔を行き来しながら片方の手で秀麗の物を扱き始めた。
「あぁ・・・っ・・・あぁぁ」
指が2本に増える頃には、秀麗の物は天を向くほど立ち上がっている。
「秀麗・・・私の中で達するか?」
その言葉に秀麗はいやいやと顔を左右に振るが
兼光は秀麗の前に跪き、秀麗の物を口腔に含んだ。

紅蓮はその姿を見て、まるで秀麗に傅く下僕のように思えた。
この天下人がこれほどまでに一人の男に執着した事があったのだろうか?
後孔を2本の指で弄られ、前を咥えられた秀麗にはもう抗う気力は残っていなかった。
油を足された指が出し入れされる度に、ぐちゅぐちゅと卑猥な音が聞こえる。

「あぁぁぁぁぁ・・・うえ・・さまぁ・・・・もう・・・あぁぁっ」
「はぁっ・・あぁぁ・・・やぁーーーーっ!」
「だめ・・・お願いでございます・・・もう・・・・あああああ」

秀麗の口からは止め処なく喘ぎ声が漏れる。
その時兼光が秀麗の中で指をくぃっと曲げた。
「あああああああぁぁぁぁぁぁあ・・・」
多分その声は秀麗が今まで発した中で一番大きい声だったと思う。

秀麗の身を支えた片足ががくがくと震え、立っているのも辛そうだった。
両手を吊られたまま仰け反った白い喉が美しいと
ぼおっと見ていた紅蓮は思った。

秀麗の放った白濁を飲み干す兼光を見ながら・・
『この男は・・・秀麗に心底惚れている・・・』それはもう確証だった。
今までこの裏の大奥で多くの男と繋がったが、多分こんな事をしたのは秀麗にだけだろうと思った。
長く体を重ねた自分ですら、手で扱かれたのも数える程だ。

「う・上様・・・辛い・・・」
秀麗が潤んだ目で言うと、兼光は梁に掛けた紐を解いて秀麗の脚と腕を開放した。
そして秀麗が羽織るだけになっていた着物を肩から滑らせ
その白い裸身を曝け出させた。
「いやっ!」慌ててしゃがみ込む秀麗の腕を引き立たせ羽交い絞めにした。

「紅蓮・・・こちらへ来て、秀麗に紐を」
「いやっ!」
「上様・・・手も口も出すなと言われませんでしたか?」
「・・・では良い・・・・だが私が縛ると千切れるくらい強く縛りそうだが?」

その言葉に紅蓮が秀麗ににじり寄った、足元に落ちている紐で
秀麗の根元を縛った、痛くない程度に、だけど達する事のないように・・・

紅蓮は気づいた・・・
これは秀麗に対する仕打ちでは無く
自分への見せしめだと・・・・秀麗に下心を抱いた自分への釘だと・・・

四つん這いになった秀麗の尻たぶに唇を這わせながら、
指は秀麗の体内に埋まっている。
「あぁっ・・・・あぁ・・・・」
その指の動きに合わせたかのように秀麗が喘いでいる。

「うっ・・・・ああぁ」
指が増やされたのだろう、秀麗の眉間に皺が寄った。
兼光は3本の指をばらばらに動かしながら、
隙間を作りその中に袂に忍ばせていた白い寒天玉を押し込んだ。

その違和感に「イヤッ・・・」秀麗が身を捩るが「大丈夫だ・・」
兼光はそう言いながら空いた手で秀麗の尖りを潰すように捏ねた。
「ああぁぁっ・・だめっ・・・あぁぁ・・・」
じんじんする胸の感覚に加え、体の中が熱くて堪らない。

秀麗が顔を上げると、その先には紅蓮の姿がある。
『ご・め・ん・な・さ・い・・・・ぐれん・さ・ま』
声にならない唇がそう語った。

「あぁ・・熱い・・・上様」
「秀麗どうして欲しいのだ?」兼光とて早く繋がりたい・・
だが、秀麗の口から言わせたい言葉がある。
「ああぁぁっ・・・はぁっ・・・」

脳みそまで溶けるのではないか・・そう思うような疼きだった。
「あぁぁ上様・・熱い・・熱い・・・あぁぁ・・・も・・・・・・・」
結ばれながらも吐き出したくて、ぽたぽたと零れ堕ちる朝露のような雫が滴り落ちる。
「あぁぁ・・上様・・・」

兼光が手首を返しながら秀麗の中を掻き回す。
そしてその指を引き抜き、己の熱い塊をそっと押し当てた。
「あぁぁ・・・・」秀麗はその感触に震える。
だが押し当てられた先端が後孔の入り口をゆるゆる撫で回すだけで
兼光の体が前に進む事は無かった。

「秀麗、どうして欲しい?」
焦らすように兼光はその先端で入り口を突付いている。
秀麗はこの熱を開放する方法はひとつしか無いと知りつつも
それを言葉にする事を躊躇われた。

紅蓮の前ではしたなく強請る・・・・それは身を切るように辛い。
秀麗は涙に濡れた瞳で目の前の紅蓮を見た。
そんな秀麗に紅蓮は黙って頷いた。
紅蓮は今の秀麗の辛さを誰よりも判っているつもりだった。

「あぁぁ・・う・上様・・挿れて下さいませ・・・」
その一言を聞くと兼光の猛りが待ち構えたように
秀麗の狭い内壁を押し広げるように突き進んで来た。

「ああああぁぁぁぁぁーーーーっ!」
その痛みに悲鳴を上げながらも秀麗の後孔は兼光の太い肉棒を少しづつ銜え込んで行った。

紅蓮はそんな秀麗を見ながら、自分の力の無さ、立場の弱さに唇を噛んでいた。
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