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【裏】大奥

其の伍


「秀麗さん、このまま少し待っててくれますか?」小五郎に言われ秀麗は頷いた。
すっと参の棒が抜けて、秀麗は安堵の息を吐いた。
小五郎が部屋を出て行くと、秀麗はまたその六の張型を見た。
手に取って見る勇気などは無い、ただぼうっと見ていただけだった。
『やはり無理・・・』
秀麗の普通の頭で考えて、どうしても無理だという結論に達したのだ。

暫くすると、小五郎が紅蓮を伴って戻って来た。
「紅蓮様・・・」秀麗はもしかして紅蓮がこの窮地から救ってくれるのでは?と甘い期待を持った。
「秀麗、梃子摺っているようですね?」いつもの怪しい微笑みだ。
「・・はい、紅蓮様、やはり私には無理で御座います」

「あのね秀麗、無理でもやらなくてはならない事なの、絶対無理という事は無いから」
最後の望みも断たれ秀麗の瞳に落胆の色が浮かんだ。
「小五郎さんに聞きました、秀麗のは直ぐに窄んでしまうそうですので
床に入る前まで私がちゃんと準備してあげますから」
「・・・・?」紅蓮の言う意味が理解できない。

「小五郎さんは寝所には、入れないんですよ、ですから私が一緒に寝所に入ってあげます」
「・・紅蓮様が準備を?」
「そうです、私がちゃんと上様の物をお受け出来る様にしてあげますから、心配しないで」
秀麗にしてみれば、紅蓮が傍にいてくれるのは心強い、が準備って?

「こんな棒よりも指の方がうんと気持ち良くなりますから」
そう紅蓮に言われ昨夜の自分の痴態を思い出し、体が火照ってきた。
「秀麗さんは、昨夜上様に指で良くして頂いたみたいですよ」
今まで黙って聞いていた小五郎が口を挟んだ。

「指で・・上様に?」紅蓮の目が怪しく光った。
「じゃ随分と気持ち良い思いをしたでしょう?」紅蓮の揶揄するような言葉に
「そ・そんな・・気持ち良いなんて・・・」秀麗が言葉を濁した。
「あら、指で悪戯されて、ここから白い液を出したんでしょう?」
そう言って紅蓮は秀麗の一物に手を伸ばした。

「ぐ・紅蓮様!・・・そんな・・し・白い液なんて・・見てないから何色か判りません」
「見てない?」紅蓮が素朴な疑問を口にすると
「う・上様がお飲みになってしまわれたので・・・私は見てはおりません」
秀麗にしてみれば、液の色など知らないと言いたいのだろうが
秀麗のその答えに驚いたのは紅蓮ばかりではない、
いつも冷静で顔色を変えない小五郎までも驚いた顔をしていた。

「あははははっ・・・あの上様が?あはははは・・・」紅蓮が狂ったように笑い出した。
「紅蓮様・・・・」驚いた秀麗が紅蓮の名を呼ぶと
「凄いね秀麗は、天下の徳川兼光様に自分の放った物を飲んで頂くなんて・・」
紅蓮は心底可笑しかった。

『もしかしてこの秀麗はこの裏大奥を変えてくれるかもしれない・・・』
紅蓮は笑う顔の下でそう思った。

「秀麗、上様はさぞかし秀麗がお可愛いようね、そう酷いことはなさらないから心配しないで」
「では、紅蓮様、これを」と小五郎に渡されたのは
躾の道具一式と、数種類の寒天玉、そして事後の塗り薬等だった。
「あらこの色初めて見るわね?」紅蓮が手にしたのは
薄い紅色の寒天玉だった、普段使うのは殆ど白い寒天玉だ。

小五郎が口角を少し上げ「それは最新の薬でございます」そう意味ありげに言った。

「その前に、ちょっと秀麗のを見せてもらおうかね?」
紅蓮の言葉に秀麗が怯えるが
「準備の事もありますから、秀麗さんもう一度ここに手を突いて下さい」
秀麗は小五郎に言われてしまうと、諦めてもう一度布団の上に両手を突いた。

紅蓮の手が秀麗の着物の裾を腰まで捲り上げる。
「・・・紅蓮様・・」
紅蓮の指が秀麗の蕾をゆっくりと撫で回す。
「あっ」棒とは違う感触に秀麗の口から小さな声が漏れた。

粘度の高い油はまだ秀麗の蕾の周りに潤いをもたらしていた。
「あ・・・っ!」秀麗は紅蓮の指が体内に滑り込んだのを感じた。
その指は焦らすように、ゆっくりと秀麗の内壁を侵していく。
紅蓮の指は中を掻き回したり、内壁を突付いたり上手に秀麗の快感を引き出して行く。

「流石紅蓮様、手馴れたもので・・・」小五郎が感心した声を出した。
「ふふふ・・伊達に他の子を啼かしちゃいないよ」
紅蓮は指1本でも達かす事が出来ると自負しているが
それはまだ快感に慣れない秀麗には無理な事は判っていた。

いつの間にか紅蓮の指は2本に増やされていた。
「はぁっ・・・」秀麗が大きな溜息を吐いた。
「秀麗、苦しい?」
「・・はい少し」
紅蓮も秀麗の中の狭さを指で感じてはいた。

あまり此処を今刺激はしたくないが仕方ないと自分に言い訳しながら
紅蓮は秀麗の中の良い場所を探してぐいっと押した。
「やああーっ!紅蓮様・・・・そこは駄目で御座います」
「何?秀麗ここを知ってるのかい?」
「ああ・・・っ・・・うえ・上様が・・・」
『ふーん、上様もやるねぇ・・』ちょっとばかり兼光を見直した紅蓮だが
此処の良さを知らない奴がやるのと、知ってる奴がやるのでは全く違う。

紅蓮は容赦なく秀麗の中を攻めた。
「あああぁぁぁ・・・・紅蓮様!」
そこを押される度に強い刺激に声が上がってしまう。
「秀麗・・・気持ち良いねぇ?」
「ああぁ・・・紅蓮様、酷いです・・・秀麗の体がおかしくなってしまいます」

「紅蓮様もう時間が・・・」
小五郎に声を掛けられ、紅蓮は秀麗の中から指を引き抜いた。
「あ・・・っ」
「秀麗まずは湯に浸かって身を清めてから、上様の所であとの準備はしましょう」
紅蓮に促され、立ち上がるが足に力が入らない。

「秀麗可愛いねぇ・・年季が明けたら私にも抱かせておくれ」
紅蓮の冗談とも本気ともとれる言葉に秀麗が驚きの目を向けた。
紅蓮は秀麗の目に答えず、「さぁ湯所へ行きますよ」
もう一度促され、そして紅蓮に支えられるように秀麗も立ち上がった。


そして湯から上がると、そこには真っ白な長襦袢が置いてあった。
その長襦袢を羽織ながら、秀麗は震える手で帯を結び
そして兼光の待つ部屋へと紅蓮に伴われ歩いた。

これから自分の身に何が起こるかはもう判っている。
湯上りの火照った体はあっという間に冷たくなっている。
長い廊下を歩き、襖の前に座る。

「紅蓮で御座います、秀麗を連れて参りました」
「入りなさい」
「はい失礼致します」紅蓮が襖に手を掛けた。

兼光の声に秀麗の体は強張り、薄い桃色の頬からは血の気が引いて行った。

「秀麗・・・」
兼光が小刻みに震える秀麗に声を掛けた。
「はい・・上様」掠れた声で返事を返すが、兼光の顔を見る事など秀麗には出来なかった。

「上様・・・お願いが御座います」紅蓮が兼光に向かって頭を下げた。
「どうした紅蓮?」
「はい、秀麗は・・秀麗の体は未だ上様を受け入れる準備は整っておりません」
「小五郎はどうした?」

「はい、小五郎様は努力して下さいましたが、時が経つと秀麗の体は直ぐに元に戻ってしまいます故
私が直前まで準備をさせて頂きます、勝手では御座いますが、これも秀麗の為で御座います」
秀麗の為と言われれば兼光も承諾しない訳にはいかない。

「・・・・・わかった、紅蓮に任せよう」暫く考えた後静かに兼光が答えを出した。
「有難う御座います上様」
「此処でいたしましょうか?それとも上様の目の入らぬ所で?」
そう尋ねると紅蓮は妖艶な目で兼光を見つめた。

「・・・ここで」その言葉を聴いた紅蓮は兼光がそう答えるのを判っていたように微笑んだ。
「秀麗此処にお出でなさい」
「・・・はい」小さく返事をするが体が動かない。
「大丈夫ですよ、私に任せなさい」
「・・・はい」

紅蓮に手を引かれ、布団に体を横たえた。
「帯は私が解いても?」
紅蓮の言葉に兼光は
「帯は私が・・・」そう言うと横たわる秀麗の
長襦袢の帯に手を掛けた。

「あぁ・・・」
秀麗の動悸が激しくなった。
帯の結び目を兼光が優しく解いて行く。
そして、しゅるしゅると帯が抜かれた。

兼光の手がそっと襦袢の合わせを開いた。
辛うじて秀麗の腰の物は隠された状態だった。
真っ白な長襦袢よりも白い肌が露になる。
兼光が秀麗の肌に触れた。
「あぁ」
ただ指が触れただけなのに、秀麗は慄いた。

「秀麗・・・女子よりも綺麗な肌だな・・」
鎖骨の辺りで指を止めた兼光が感嘆の言葉を吐いた。
その指が鎖骨をなぞり、そして小さな突起に触れた。

「やっ!」驚いた秀麗が小さく呻いた。
それでも兼光の指が秀麗の突起から離れる事は無かった。
触れるか触れないかの位置でそっと撫でる。
「う・上様・・・恥ずかしゅう御座います」
秀麗は胸の突起を刺激されて、ただ恥ずかしかった。

「秀麗、上様にそこを可愛がってもらいなさい、男でもそこは気持ち良いものですよ」
「紅蓮様・・・」今にも泣きそうな声が紅蓮の聴覚を刺激する。
「では秀麗、私は下の準備を致しますよ」

そう言うと、秀麗の脚の間に体を入れて来た。
紅蓮の体の幅に両脚が開かされる。
「あぁ・・・恥ずかしゅう御座います・・・紅蓮様・・」
秀麗は今は怖いよりも恥ずかしさで一杯だった。

「秀麗膝を曲げて」紅蓮が秀麗の腿に触れながら囁いた。
言われた通り、しかしおずおずと膝を曲げる。
「紅蓮様・・恥ずかしい」
紅蓮の体を挟んで大きく足を開き膝を立てた・・・・
紅蓮の前に全てを曝け出す恥ずかしさに秀麗は気が遠くなりそうだった。

「あっ!」ただ撫でるだけだった胸の突起を指で摘まれ声が上がる。
こちらへ意識を持って来いと言うような兼光だった。
そして、人差し指と親指で摘み上げられ、引っ張られた突起に舌を這わされた。
「いやぁ・・・」
痛いような、くすぐったいような感覚に秀麗が抗う。
「あぁ・・・」
突起を引っ張られ伸びた下の皮膚を舌先がなぞる。

「あ・・・・上様・・・」
「あぁ・・っ紅蓮様ぁ」
油をたっぷり塗った指が秀麗の後孔に挿入された。
「やあぁーーっ・・上様」
兼光が紅蓮に負けじとばかりに、突起を吸い上げた。

あちらこちらから、刺激が与えられ、だんだんと感覚が鋭くなってくる。
「ああぁぁぁ・・・う・上様・・・駄目で御座います」
突起を甘噛みされた秀麗の口から出た言葉は、抗いよりも喘ぎに近かった。
吸い上げ、そして軽く歯を立てる・・何度か繰り返されると堪らなくなった秀麗は
「上様・・・噛んだら・・あぁぁ・・・駄目で御座います・・・」
紅蓮にしてみれば、それはお強請りにしか聞こえなかった。

そして紅蓮は2本に増やした指で、秀麗の良い所を探り指で強く押した。
「ああ・・・・・・ぁぁぁ・・・・いやぁー・・・」
その刺激に今まで我慢していた涙が頬を伝い零れた。
その時兼光の手が、腰だけを隠していた襦袢を取り去った。

「秀麗・・・気持ち良いのか?」
兼光の声は低く甘く、そして嬉しそうだった。
そして、ふるふると震える秀麗の一物に手を伸ばして、ぎゅっと握る。
「ああぁぁぁぁ・・・駄目・・・・上様・・・」
泣きながら抵抗したとて、男の嗜虐心を煽るだけなのに・・・紅蓮は心でそう思った。

紅蓮は2本の指で入り口を拡げると、小五郎から貰った薄紅色の寒天玉をそっと後孔に押し込んだ。
この効果は紅蓮にすら判らない・・・
その玉を奥に押し込みながら、紅蓮の口元がふっと緩んだ。

最奥に押し込むと、紅蓮は指を3本に増やした。
「うっ!」流石に秀麗が呻いた。
だが、ここで手を休める訳には行かない。
「はぁ・・・」秀麗が肩で息を吐いた隙に、3本の指を中まで挿入させた。

「ああっ!・・・紅蓮様・・・苦しゅう御座います・・・」
「すぐに馴染むから、我慢しなさい」諭すように秀麗に言いながら
3本の指を中でバラバラに動かした。
「あーーっ!紅蓮様ぁ・・・・」

秀麗が紅蓮の名を呼ぶのが、どうにも気に入らない兼光は
握った手を上下に動かし出した。
「やぁっ・・・上様・・動かしては・・・動かしては・・・あぁぁぁ・・・」
「動かした方が気持ち良いだろう?」秀麗の顔を覗き込むように兼光が囁いた。
「あぁ・・・・上様・・・・秀麗は・・秀麗は気持ち良う御座います・・・」

秀麗のその言葉に、まるで飴玉を貰った子供のような顔をして兼光が微笑んだ。
「そうか気持ち良いか?」満足気な声に秀麗も
「はい、秀麗は気持ち・・・あぁ・・・気持ち良くておかしくなって参りました・・」

中の寒天玉が溶け出したのを指で確認した紅蓮は『そろそろか?』心の中で呟いた。

「上様、そろそろ宜しいかと?」と兼光に向かって妖艶な笑みを向けた。
紅蓮が秀麗の体の前から離れ、そしてその紅蓮が居た場所に兼光が今移ろうとしていた。
観念したように秀麗は目を瞑り、そして唇をきつく噛んだ。
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