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【裏】大奥

其の九


「ああっ・・・やぁっ・・ああーーーー紅蓮さまぁっ」
紅蓮の名を呼びながら、小雪は四肢を痙攣させて果てた。
「小雪っ!」紅蓮も小雪の後孔に熱い物を吐き出した。

ふたり呼吸を整えるために仰向けに寝転がる。
「ぐ・・紅蓮様・・」小雪がまだ乱れた息を吐きながら紅蓮に向き直り
「紅蓮様、誰を抱いていたのですか?」
「!・・・小雪?」

「私たちは、ただ此処で欲を絡めあっているだけです、それでもいいんです・・
でもせめて抱いてる時は・・私を見て欲しい」
「小雪・・すまない」

秀麗が来てから秀麗の事が何故か気になって仕方なかった。
その容姿の美しさにも、白い肌にも惹かれてしまっていた。
亡き小次郎の面影を見ていたのだろうか?
だが、今朝は人としての情が通い合った。

「小雪・・お前は好いた者はいるのか?」
突然そう聞かれた小雪は驚いた顔を見せたが
「私は紅蓮様が好きです・・・紅蓮様は?」
「私か・・・惚れた者がいたが・・・もうあの世だ・・」

「ぐ・紅蓮様・・・ごめんなさい・・・
代わりでも何でもいいから小雪を可愛がって下さい。」
そう言うと、小雪は慣れた手つきで、一度放出して萎えた紅蓮の体に手を伸ばしてきた。

「うっ・・・」
流石に此処で鍛えられただけあって、小雪の手淫は上手かった。
的確にツボを抑えてくる。
ここに来た当事は何も出来なかった筈だ・・・
それは自分にもいえる事だった。

あの何も知らない秀麗だって、きっとひと月も経つ頃には
何もかも上手くなるだろう・・・そう思った。
そう思った途端、小雪の手の中の物が一層大きく育った。

小雪が紅蓮の体を跨いで座った。
自らの手を添えて、紅蓮のモノを銜え込んで行く。
「ああぁぁぁ・・・・」小雪の甘い声に現実に引き戻される。

「小雪・・」小雪の名を呼びながら下から突き上げる。
「あぁぁぁ・・・紅蓮様っ・・」
紅蓮は身を起こし小雪と向かい合った。
「あぁぁ・・紅蓮様・・・気持ちいい・・」

紅蓮は今夜はとことん小雪に奉仕してやろうと思った。
指と唇で届く所全てを可愛がってやった。
歓喜の声を何度小雪が上げた事だろう。

「ああぁぁぁ・・・もうだめ・・・・あぁぁぁ」
そう嬌声を上げながら、小雪が意識を手放すまでそれは続いた。
本当は意識を失いたいのは自分の方だ・・紅蓮はそう思っていた。

ぐったりとした小雪を寝かせて、体を拭いてやる為に手拭いを手にし
廊下へ繋がる襖を開けた。
廊下に足を踏み出すと、足の指に小さな瓶が当たった。

「・・・・・」その小瓶は今朝秀麗に塗ってやった軟膏が入っていた物だった。
『秀麗・・・・』聞かれたか?
きっと一人では上手に薬が塗れずに紅蓮を頼って来たに違いない。

だが秀麗が襖を開ける事は無かった。

その頃秀麗は自室で布団の中にいた。
頭から布団を被るようにして、身を潜めているようにも思えた。
今自分が紅蓮の部屋の前で聞いた声が頭に響く。

紅蓮が兼光と繋がるのは最初に目の前で見た。
驚いて失神した・・・
だけど、自分も兼光を受け入れ、少しは理解できた気がしていた・・・

だが紅蓮に貫かれているであろう小雪の声を聞いた時は
何故か衝撃が体に走った。
声を掛ける事も勿論できずに、ひとり部屋に戻って来たのだった。
まだ心の臓がどきどきしていた。

「紅蓮様・・・」誰もいない部屋で秀麗はその名をそっと呟いた。

「紅蓮様・・・」
そう呟いてしまった自分に驚いた。
此処に居ても紅蓮は自由の体なのだ、だから紅蓮が誰と繋がっても自分には
何を言う権利もないし、自分とてこれからも上様に何度も抱かれてしまうのだろう・・・

「秀麗・・・秀麗?」廊下から紅蓮の声が聞こえた。
秀麗は布団の中で体を固くして返事を返さなかった。
「秀麗・・薬はちゃんと塗れたのか?」
紅蓮の心配そうな声に、襖を開けずに
「はい、大丈夫で御座います・・ちゃんと自分で・・・」
「・・・そうか・・ではゆっくりおやすみ」
紅蓮は手の中の薬の小瓶を握り締めながらそう声を掛けた。
「・・はい、ありがとうございます、おやすみなさいませ」

秀麗は嘘を吐いた自分を少し嫌いだと思いながらも、
完全に疲れのとれきれない体はいつしか深い眠りに落ちて行った。


その頃上臈御年寄の瀧沢に兼光は小言をくらっていた。
表大奥で唯一裏の存在を知っている女性だった。
「上様、今日の夜伽は宜しいのですか?」
「あぁ・・要らぬ」不機嫌そうな兼光に溜息を吐きながら
「このまま上様がこちらを蔑ろにされるようでしたら、裏の存続も危ぶまれます・・」
「余を脅すつもりか?瀧沢・・」

「そんな滅相も御座いませんよ、私は上様の嗜好はもう諦めました故・・
ですが、世継ぎの問題も御座います、やる事はきちんとやってもらわねば・・・」
「あい判った・・明日はそなたの気に入った者を寄越せ」
瀧沢に根負けしたようにそう言い放った。

兼光の頭の中は秀麗の事で一杯だった。
『体は大丈夫だろうか?薬は飲んだのだろうか?』
どうして自分は今、秀麗の傍に居てやれないのか・・・悔しい思いをしていた。
そして明日は誰かを抱かねばならない・・・
女を抱けない訳では無いが、気が乗らない。
「はぁ・・・」兼光は深い溜息を吐いていた。


そして七日のうち3回女体を抱いた。
だが兼光が心の中で抱いていたのは言わずと知れた秀麗だった。
早く裏に戻って秀麗を抱きたい・・・それだけを考えて兼光は表での生活を終えた。

そしてその前日、秀麗は小五郎から、3つの張り型を渡されていた。
もうご寵愛を受けた体を拡張する事は小五郎には出来なかったからだ。
「これでご自分で準備なさって下さい」
そう言われ渡された物を見てまだ手が震える秀麗だった。
「秀麗様のお体は特にお狭い故、今夜辺りから準備されておかれた方が・・・」
「・・・・・今夜から?」
「そうです、油も箱に入っておりますので・・」
そう言って小五郎は張り型と油や薬の入っている桐の箱を置いて出て行った。


小五郎が秀麗の部屋を去るのを、紅蓮は柱の影で見ていた。
暫くしてから秀麗の部屋を訪ねる。
「秀麗、体の具合はどうだ?」
「はいもう元にように元気で御座います」
「明日は上様がお戻りになる・・・・」
「・・はい」

「自分で準備出来るのか?」
「はい・・・」
「・・・・秀麗!何故私を頼らない?」
苛々したような声で紅蓮が尋ねた。

「・・・紅蓮様・・私も上様のご寵愛を受けた身、そう簡単に体を晒すような事は・・・」
秀麗の言う事も至極当たり前の事ではあった。
「そうか・・・判った」
そう言われたら紅蓮とて言い返す言葉が無かった。


そして次の夜
早速兼光の声が掛かった秀麗は、
昨日小五郎に渡された桐の箱を持って兼光の部屋を訪れた。
「・・秀麗、体はどうだ?」
兼光は七日ぶりに見る秀麗の憂いある顔に見惚れながら尋ねた。
「はい、上様から頂きました薬のお陰でもうすっかり元気で御座います」
「そうか」満足そうな兼光に秀麗が土下座する。

「上様・・申し訳御座いません・・秀麗は準備がまだで御座います」
「ん?紅蓮に手伝ってもらわなかったのか?」
怪訝な声で秀麗に尋ねる
「・・いえ・・秀麗はもう他の方に体を見られたくは御座いません・・・
上様だけにしか見せとうは御座いません」

秀麗は事の始まる前に紅蓮に体を見られ
そして終わった後に又見られる・・それが恥ずかしくてならない。
それがどうしてなのかは、秀麗にも今は判らなかったのだ。

秀麗の言葉の深い意味の判らない兼光は
単純に自分以外には見られたくないという秀麗が愛しくて堪らなくなった。
「そうか、判った・・・その箱を持ってこちらに来なさい」

そう言われて秀麗は震える足で一歩づつゆっくりと兼光に向かって歩いた。

「はぁっ・・・上様・・・・」
うつ伏せに腰を上げられた体勢で秀麗が喘いでいる。
兼光の熱い舌が秀麗の小さな蕾を解していたのだった。
「あぁ・・上様・・もうお止め下さい・・・」
蕾への愛撫は秀麗の背中をぞくぞくっとさせ、知らず知らずのうちに甘い声が漏れてしまう。

「駄目だ、まだ固いままだ」
「あぁ・・上様がこのような事は・・・あ・・・っ」
心では否定しているものの体が反応してしまっていた。
「秀麗気持ち良いか?」
秀麗は舐められ、入り口を舌先で突付かれるこの行為は
とても恥ずかしいが、気持ち良いと思った。

「は・はい・・・気持ちようございます・・・」
兼光は張り型の一番細い物に油をたっぷり塗った。
「秀麗、張り型を入れるぞ」
その言葉に秀麗の体が強張るが
兼光の舌先で解された後孔は、その張り型の先っぽを呑み込んだ。

「あぁぁ・・・上様ぁ・・・」
細いが長さのある物が秀麗の体に少しづつ埋まって行く。
「ああぁっ・・あぁ・・・」
兼光は優しくその張り型を埋めきった。
「ほら秀麗・・そなたの後ろの口は全部銜えられたぞ」
兼光も満足そうに言う。

「あ・・ぁぁ・・・上様・・・きついです・・」
後孔が引き攣る感じがして、秀麗が苦しそうに訴えた。
「大丈夫だ、少し擦ったら気持ち良くなるから」
そう言うと、兼光はその張り型をゆっくり動かし始めた。

「ああぁぁぁ・・・」
たっぷりと油を塗ったそれは、窮屈な秀麗の中でゆっくり動かされる。
「あ・・・・・っ上様・・・・」
「気持ち良いか?」
「な・何か変な感じで御座います」

だが若い秀麗の性器からは、ぽたぽたと透明な液が垂れていた。
「秀麗のこれは、良いと言って泣いてるぞ」と揶揄され
「う・上様ぁ・・・どうしたら良いのか秀麗には判りません・・」
少し引き攣る感じはするが、張り型で擦られる後孔の中が熱くなって来た。

「あぁぁ・・あぁ・・あぁぁ・・」
「秀麗は良い声で啼くなぁ・・」兼光が嬉しそうに秀麗の尻を撫で回した。
そして兼光は早く自分も秀麗の中に納まりたくて
一番太い張り型を手に取った。

同じようにたっぷりの油を垂らし、そして細い張り型を抜いて
その太い物を後孔の入り口に押し当てた。
その感触に秀麗が身を捩るが
「大丈夫だ、力を抜いて」そう声を掛け、その張り型に力を込めた。

「あああーーーーーっいやぁーーーーっ」
あまりの質量に秀麗が悲鳴のような声を上げた。
「秀麗・・・大丈夫だから少し力を抜きなさい」
「いやっ・・あぁ・・・やぁぁ・・・」
秀麗の目から涙がボロボロと零れた。
だがその秀麗の声も涙も、七日も我慢してきた兼光の嗜虐心を煽り
冷静さも奪っていった。

後孔に先だけ入っている張り型を抜くと
もう最大限になっている自分の一物を押し当てた。
「う・上様?」怯えた秀麗の声に
「秀麗・・もう我慢出来ない」そう言うと、ぐぐーーっと後孔に己を埋めて行った。

「やぁっ・・上様・・無理で御座います・・・あぁぁーーーー」
「秀麗全部挿れるぞ」
秀麗の体が上がって行かないように肩を押さえ、又ぐっと奥を目指した。
「ああーーーーーっ上様ぁ・・あぁ・・ぁ」

この苦痛は前回の比では無かった。
前回は紅蓮が準備をしてくれたし、媚薬も使われた。
だが、今回は十分な準備など無い、その上でこの性急な行為は
秀麗の後孔を裂き、意識を飛ばした。

「あっあっ・・うっ・・・うっ・・・」覚醒すると悲痛な声が漏れる。
「秀麗・・・秀麗・・・」
兼光が秀麗の中で果てた・・だが引き抜かれる事なく暫くすると
それは又硬さを取り戻して行った。

「う・上様・・・もっ・・あぁ・・・お願いで・・ございます・・・あぁぁ」
秀麗に悲痛な叫びも兼光には甘え喘ぎに聞こえてしまう。
「ああーーーーーぁ・・・おね・・・うっ・・・うっ・・・・」
「秀麗・・・・そなたの中は素晴らしい・・・秀麗」
「やっ・・ああっ・・・も・・・うえさまぁ・・・・」

『紅蓮さま・・・・』「あぁぁ・・うえさま・・・・あぁああ」
2度目の吐精の後、ようやく兼光は秀麗の体から離れた。
秀麗の太腿を鮮血と兼光の放った精液が伝って流れ落ちた。

殆ど意識を飛ばしてぐったりしている秀麗にその時初めて気づいた。
「秀麗!・・」
兼光は大鈴を鳴らした、廊下から声を掛けた佐助に向かって
「紅蓮をここに」と一言伝えた。

しばらくして「紅蓮で御座います」襖の前で紅蓮が声を掛けた。
「入れ」
「失礼致します」

「!秀麗?」秀麗の姿を一目見た紅蓮は息を呑んだ。
「惨い・・・上様っ!」
「判っておる、少し行き過ぎた・・・だからお前を呼んだのだ」
「秀麗を連れて行って宜しいですか?」
「・・・手当てを頼む」流石に紅蓮の顔を見れないのか、気を失っている秀麗だけを見ながら言った。

「明日はちゃんと準備をさせてから寄越せ」
その言葉に紅蓮が驚いた
「こんな・・・・こんな秀麗を明日もお抱きになるおつもりですか?」
「私が此処にいる者を抱いて何か問題でもあるか?」

「秀麗以外にも年季の明けぬ者もまだ3人もおります」
「私は秀麗を寄越せと言ったはずだ・・」

紅蓮は言葉が出なかった。
この男は・・この裏では物分りの良い君主だった・・・今までは
秀麗が変えてしまったのか?
紅蓮は秀麗に執着する今の兼光を怖いと思った。

「上様・・このような事を続けられますと、此処は
・・・・・・・・・この裏大奥は崩壊してしまいます・・・・」

紅蓮の声は怒りに満ちていた。
守ろうと思っていた秀麗をこんなに傷付けられて・・・
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